【法話】前向きな心

心暗きときは、即ち遇う所悉く禍なり

(こころくらきときは、すなわち あうところ ことごとく わざわいなり)

眼明らかなれば、則ち途に触れて皆宝なり『性霊集』

(まなこ あきらかなれば、すなわち みちにふれて みな たからなり)

現代語訳

「気持ちが落ち込んでいたり、物事を悪い方向へ考えてしまう時は、すべてのことが禍を招くようになる。心を明るく前向きに物事を捉えるようにすれば、出会うものがすべて宝になる。」

このお大師様のみ教えは、後ろ向きな気持ちでなく常に前向きな気持ちを持って過ごしていくことの大切さを私達に示しております。

日々、生活する中で物事が上手くいかない時、自分の思い通りにならない時があります。そんな時、簡単にあきらめてしまったり、誰かのせいにしてしまうことで、物事が悪い方向に進んでしまうことがよくあります。そういった負の連鎖を断ち切り、前向きな気持ちになるためにはどうすれば良いでしょうか。

それには、ネガティブな負の面だけを見るのではなく、ポジティブな正の面を探して、違った側面から物事を見るよう日頃から心掛けることだと思います。

私が高野山で修行しておりました時、お師匠さんからこのような言葉をかけていただいたことがございました。

「これからの人生で壁にぶつかった時、困難だ、辛い、自分では出来ない、などと思うのでは無く、お寺の本尊様やお大師様が君ならその壁を越えることが出来る、頑張って取り組んでみなさいと、敢えて課題を与えて励ましてくださっていると捉えるようにしてみなさい。」

この言葉はとても印象深く心に残っており、今でも私を励まし勇気づけてくださいます。

高く飛び上がる時には、しっかりと膝を曲げて力を溜めてジャンプするように、辛いと思う事でも飛躍するための糧だと、自分にとって必要な試練だと考えることが、明るく前向きな心持ちとなる秘訣なのではないでしょうか。そして、そこで得たことや出会った人すべてを宝物だと思い、いつまでも感謝の念を持ち続けることが大切なのだと思います。

担当:林義将

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