令和6年2月29日(木) 八事山 興正寺(名古屋市昭和区)にて
講師:見田 隆鑑師(椙山女学園大学 文化情報学部 文化情報学科 准教授、高野山真言宗愛知宗務支所下 松山寺)
高野山真言宗愛知青年教師会 令和5年度事業 研修会「美術史から見る 曼荼羅の見方」を執り行いました。金剛界曼荼羅、胎蔵曼荼羅の歴史的な成立や展開、両部曼荼羅の構成やその意義等を解説頂きました。
講演内容
「真言八祖」の功績を通じて真言密経が日本に伝わってきた経緯を振り返りました。金剛界・胎蔵の金胎両部の教えがインドから中国へ伝わり、お大師さま(空海)の師である恵果和尚へ伝わり、その教えを授かったお大師さまが真言密教の教えと共に日本へ曼荼羅を伝えられました。
大日如来→金剛薩埵→龍猛→龍智→不空→恵果→空海(付法八祖)
龍猛→龍智→金剛智→不空→善無畏→一行→恵果→空海(伝持八祖)
「曼荼羅」とは、古代インドの言語 サンスクリット語の「マンダラ」を漢訳しています。「マンダ」本質・真髄・場・座、「ラ」得る・所有の意があり、「本質を得るもの」と訳され密教経典では「仏の集合図」などとも説明されています。お経に説かれた仏様の世界観を図式化したものです。
◇金剛界曼荼羅:金剛界とは金剛石(ダイヤモンド)や金剛杵のように堅固で最高の世界を表し、9つの曼荼羅図により構成されています。世界は仏様たちで覆い尽くされていて、生きとし生けるものがそのまま仏となれることを説く「金剛頂経」の教えが表現されています。
◇胎蔵曼荼羅:十二院(12個の区画)によって構成されています。上下左右の対称性を意識したバランスのよい配置となっており、仏様の数は約400体が描かれています。大日如来を中心とする仏様の慈悲の広がりが表現されています。
講演後、元禄2年(1689年)尾張徳川家2代藩主、徳川光友公より興正寺様へ寄進された両部曼荼羅を見ながら仏さまの描かれ方の違い、配色や描かれているものの形、檀信徒様へ曼荼羅を分かりやすく説明する方法など質疑応答や情報共有しました。
愛知青年教師会OB、三重青年教師会員、岐阜青年教師会員、静岡青年教師会員、真言宗智山派東海智山青年会員、真言宗豊山派愛知県仏教青年会員の皆様にも参加頂きました。
▷高野山真言宗愛知青年教師会 参加者:鈴村裕正、近藤堯潤、小松永明、西山海良、後藤泰真、中道圭照、西本行範、林義将